1月16日、夜8時40分。突然の電話でした。

「もうかなり前ですが、Aと言います。覚えていますか?」

「東京に住んでいます。帰省した時に一度会いたかったですが」

 

私たちの書籍「もうひとつの家族 ドアのない部屋から」に、

「豪雨の中で彼を見つけた」のページがあります。

もう20年も前ですが、とても印象深い生徒の一人です。

 

「学校にも家にも自分の居場所がない。僕には死ぬしかない」

机の上にあった遺書。

「フリースクールにいますか」という父親からの電話は夜11時。

フリースクールに向かいました。いません。

台風で雨と風が強くなっていて、早く見つけないと危険です。

中学校、体育館、倉庫、道路、道はこの道路を通る、保護者と手分けして探します。もう一度フリースクールに戻ります。

すると、ハウスの横を歩いてくる少年を見つけました。

急いで彼を車に乗せました。全身濡れ、震えています。

彼を抱きしめたのは、午前3時。

後日、「フリースクールしか、自分の居場所がなかった」と言ってくれました。

 

「昔のことは今思うと恥ずかしいです」

「何か僕でも役に立つことはないかと電話しました」

 

電話から聞こえる30代の彼の声はとても明るく、社会の中でしっかり活躍していました。

image