一人の男性と一人の女性が出会い、結婚します。違う環境で育った男女がひとつの家の中で、生活し、家族になります。日本が核家族になったこともひとつの原因にはなっています。

 家族問題の中の子どもへの虐待として、5歳のわが子への衰弱死には懲役8年の判決が出ました。たとえ、わが子であっても、自分の指示に従わなかったり、自分の意見に反対意見を言ったりするようになる年齢になると、すべて文句に聞こえ、子どもは可愛くないと思うようになる親もいます。殴ることがしつけだと思う人もいます。自分が殴られて育っていたり、言葉で説明できない人は、黙らせる方法は殴るという暴力の手段になったりします。ステップファミリーと言う形の再婚同士の家族形成もあります。今、この形も多くなっているようです。

 「子連れで結婚してくれたから」という感謝の気持ちもあるという親の方からみると、殴るなどの行為も真剣に子育てに向き合ってくれていると思ったり、口を出せないということになったりします。祖父母は何をしていると言われても、離れて暮らしていて、「こどもはもう社会人だし、別に暮らしているから、何も知らない」というケースも多くなりました。

 家族問題は、プライバシーの守られる家族だけの良い面と、家族の中でのさまざまな問題に誰も関われない、今回の虐待事件のような悲しい面があります。

 子どもが大きくなり、子どもが親の意見や今までの殴られたことなどに反抗する時は、子どもの身長が親を超すころから起きることもあります。そうなると、子どもが親を追い出し、家を子どもが占拠し、そのうえ食事を親が運ぶケースなどもあります。「こうなったのは、親の所為だ」と言います。責任転嫁が多いです。自分は悪くないという意見です。

 家族問題は、いつの時代も難しい課題です。こども側から見ると、「親が悪い。親が憎い」となります。親側から見ると、なんでもかわいかった赤ちゃん時代から、自分に反抗し、ついには暴力を振う、わが子でありながら警察に依頼するしかないケースにもなります。

 家族に向き合っています。時には警察も入ります。警察官と外で合流。協力しながら対応します。どこかで踏み間違えば、事件にもなります。そうならないように対応していますが、一つの言葉で「爆発」することもあります。地雷はどこにでもあるなと思います。

 教育現場にいた時から、多くの家族を見てきました。家族のすばらしさと家族の難しさを見てきました。保護者会に必ず出席する親、忙しいからと一度も出席しない親、連絡情報がかみ合わないケース。学校が怖いという親。親が不登校経験があると、学校はあの不登校時代を思い出すからと言います。子どもがいつも学校の先生に怒られ、親が呼び出され「親のしつけが悪い」とまた怒られていた小学校時代、中学校時代。そうなると高校生徒になったわが子の保護者会など、行きたくないといったケースもあります。

 それでも家族関係は作り上げていくもので、最初からできているのではなく、それぞれが努力の方向にいってほしいと思っています。「家族になろうよ」の言葉への努力です。