きっといろいろな思いがあったことでしょう。6年かかって高校を卒業したのです。お母さんの言葉に「生活のリズムが合わなくて・・・」でも3年間は毎日がんばっていたのです。遠くの学校に電車にも乗って。でも崩れると少しずつ学校に行けなくなって、とうとう退学。そしてゆずりは学園に。いつも最初は頑張るのですね。でも、また少しずつ苦しくなって。スクーリングには出席できたのです。でもレポートが追いつかなくなっていきました。だから1年目は私が持つ英語、国語以外の教科のみに切り替えることにしました。国語も英語もスクーリングの時間もレポートの枚数も多いのです。

 一文字書くのにも、何分もかかります。そしてとても字がきれいなのです。時間がかかるのです。じっくりゆっくり、そして丁寧に。鉛筆の芯の先は、尖ってはいないのです。私が削った鉛筆を渡そうとすると、「大丈夫です」といつも自分の鉛筆を使います。

 私とのレポート学習を終えても、ゆっくり学習のセットをしまいます。もうかなり使っていると思われる袋に丁寧にしまっていきます。そして椅子をきちんともどしていきます。

 「親の育て方が悪い」「親が働いているのが悪い」と責められたそうです。保護者代表として話してくださった。時々声が震え、一筋縄ではいかないわが子に寄り添う母の姿がありました。

 発達障害は、それぞれの個性です。ゆっくりでないと、次の行動に移れないのです。自分で納得しないと、次の行動に移れないのです。

 ゆっくりそして確実に、自分のリズムで動きます。せかされるのは苦手です。早くは苦手です。

卒業式にも参加できるか心配でした。でも、ドームの中に、母親と一緒に入り、そして式の後には自分から、仲間の中に入って、写真に加わりました。

 手には、しっかりと卒業証書を持っています。

母と子の今からにも、そっと寄り添いたいと思います。