「ママさん、大変です」と電話がありました。

生徒が一人海にいるという連絡です。

GPSで、今海にいるというのです。一人の生徒に電話にかけました。

「今、海にいて、友達を止めている」と言います。私たちがすぐ向かうと言いました。

まもなく警察に助けを求めていいかと折り返しの電話です。

かなり暴れていて、大変だと言います。

電話をしてもいいと答えました。

「ゆずりは学園に迷惑をかけることになってしまいませんか」と言います。

人の命を助けることの方が大切だと答えました。

暗い海です。携帯の明かりで、私達を待っている生徒が見えました。

裸足で、水に濡れているシャツ。もう一人は、砂浜に抑え込まれています。もう一人は

上から抑え込んでいます。生きていました。

キャンプの時は、静かに子ども達や若者が語り合ったり、花火をあげたりする海です。

でも、今夜は死ぬための海です。

シャワーを浴びさせ、着替えして、教室のエアコンを点け、インスタントラーメンを食べさせ、

3時間ほど話して、今自宅に帰りました。

 

生きることは辛いです。でも生きてほしいです。

霊が見える子がいます。

「ママさんの後ろに、一人の女の子がいる」と教えてくれました。

その子が、見守ってくれていると感じました。

潮風の電話の子が、いつも私たちを見守ってくれているように思いました。

自殺させたくありません。海の堤防にあがることが難しく、生徒が手を出して

支えてくれました。年を感じました。悔しいですが、体力の衰えを感じます。