夏の影 〜 一行詩のささやき

・森の奥に水の音 森の前に風の音 誰も知らない森の歌

・グラスの中を朝の香りが くるりと一周

・樫の葉のひとつひとつに丸いしずくが光って放れる

・真夜中に雲がゆっくり動くのを待ち続ける地球

・沙羅の白い花が去年の花跡に混じって一輪

・小さな苗が夏を知り 水田に緑の色をつけ加える

・栗の花の大きな傘が 夏の影を濃くする

・雨跡が瓦を走り始めた 早朝の音楽