ある病院の1室に9名の人が集まりました。私にとっては初めてのことです。就労支援センター、保健所、市の職員、病院関係者が集まり、一人の青年について話し合います。

 それぞれがそれぞれの職場からのできることを話します。こうした時はこうするなど細かなところまで、情報の共有です。

 最後に本人を交えての、支援する細かなことを、本人の気持ちを確かめて話し合いました。

この時期、もう夕方になると暗くなって、帰りの車に乗ると丸い月が鮮やかに漆黒になろうとする空に上がってきていました。毎日の帰りの方向とは違いますので、丸い月に向かって車を走らせるのも初めてのことでした。

 こうして、子ども達、青年の支援をするのも、50年になろうとしています。

先日も書店で本を選んでいたら、「ママさーん」と一人の青年が走ってきます。卒業した生徒でした。仕事も頑張っているとのこと。「ママさんは何を買ったの?」の質問に、「7日間で出来る中学1年から3年の数学」のドリルを見せました。

 就職試験には数学、国語の教科が出される会社が多いです。会社の職場体験があり、面接があり、筆記試験があります。生徒たちが緊張する時間です。学園には小学生から高校生、大学生が通っています。それぞれがそれぞれの年代、学力、個性、こだわり、環境の中にいます。

 学園でも「私、小学校6年から行ってない」「私は小学2年から」「私は小学5年から」「私は中学1年の途中から」と机の周りに集まって話します。その中で、「会社に入る時にはテストがある」ことを話します。学校現場から離れた時間に学ぶことは実に多くあります。その長い時間を「7日間で埋める」タイトルは、子ども達の心をひきつけたようです。

 学びたくても学べない国もあります。戦争に巻き込まれている子ども達、子どもが家庭の仕事を手伝うために学校に通えない、生きるためにタリバンに売られる子ども、それに比べたら、まだまだ日本は幸せです。でも、生きにくいことはどの子ども達にとっては同じです。

 社会に出て、再び家庭にひきこもる青年。生きにくいと訴える青年にこうして、分野の違う7つの職場、立場からのケース会議は、学園の子ども達一人ひとりにも、丁寧な指導の必要性を感じさせるものがありました。

 同じ時間が流れて、それぞれが違う空間で生きて悩んでいます。試行錯誤の日々です。