深夜の海の会話の中で、「ママさんに話してみよう」と言う生徒の声。もう一人は「うるせい」と叫ぶ生徒。
その声は今まで聞いたことのない声でした。教室に入れて、ゆっくり話を聞きます。
ふっと、何かが起こると言います。30代の男と若い男、そして自分がいると言います。
30代の男は、「死ね」「海へ行け」「早く人を殺せ」「投げろ」「殴れ」・・暴言ばかりだと言います。
力も強くなります。今まで持てなかったものも持てます。実際、海では殴り合いのけんかだったそうです。
若い男と自分は、記憶がつながっています。しかし、30代の男はつながっていないと言います。
中学校2年の部活の先生の、気に入られていない生徒と、気に入られた生徒との違いは、
すごく大きく、この生徒は、気に入られていない方でした。
何をしても怒られ、指導され、否定され、不登校になりました。
中学3年は、普通クラスに通えなくなり、特別支援クラスに変更。寮生の高校に進学。
それでも、暴力的な男が登場。またまた転校となりました。
多重人格は、ヒステリーの一種なのですが、対応をする精神科医はほとんどいません。
両親のカウンセリングをしました。両親が虐待の家族の中で、育っていました。
杉山登志郎先生の「自我状態療法ー多重人格のための精神療法」を読みました。
両親の成育歴、本人の保育園、小学校時代、中学校時代などの記憶を両親から
聞き取りました。そして中学校時代のことが分かったのです。
本人に聞いても、なにひとつ覚えていませんでした。
もちろん、昨夜あった出来事も、覚えていません。各パーツがつながっていないからです。
周りは、大変な思いで、海の中から引き揚げ、抑え込み、乱闘騒動になったのに、
まったく覚えていません。「嘘」「演技」と言われるのも、よくわかります。
解離性障害を専門にする精神科医は、日本には少ないです。
中学3年までの診察です。診察予約も出来ませんでした。
周りの人の理解が必要な障害の中でも、難しいケースです。
各パーツの平和共存には時間がかかります。