たった二人の生徒たちから始まったフリースクールでした。今は多くの子どもたち、生徒が通っています。どの子もこのゆずりは学園に来るまでには、さまざまな過程があったと思います。この4月からゆずりは横丁を始め、毎回いろいろなジャンルの人たちが集まってきます。出演者の人が「こんなフリースクールがあれば、自分の人生はきっと変わっていた。」とそっと話してくれました。

 若年無業者と言う人が、今全国で224万人もいると言われます。ひきこもりではなく、高校を出ても、大学を出ても、会社に就職しないでいる若者たちが、全国でこんなにもいるのです。私達がこの学園を設立したのは、2001年、その時はひきこもり100万人とも言われていました。その当時の人々が今どのような人生を送っているのか、わかりません。10年も経っているのですから、若者無業者の中にはカウントされないと思いますが。

 優秀な才能を持ちながら、自殺されてしまった人のニュースも流れました。優秀であっても苦しいし、学力偏重の日本社会では、東大に入ることが家族に認められるただ一つの大学だと環境の中で生きている人もいます。子どもたちに通知表と言う、数字で人間を表す教育は、まだまだなくなりません。

 海外の子どもたちの笑い声を旅の中で感じてきたパパさんが、「日本には子どもが外で遊んでいない」と言った言葉が、今もそのままの状態の日本です。東京の赤羽というところにしばらくいた時に、マンションの前の公園に多くの子どもたちが遊んでいるのを見ました。高いビルに囲まれた町の中の広い公園でした。小学生がいっぱい遊んでいます。しかし、田舎の地方の公園には、猫一匹いないように感じます。

 それにしても生き辛いという子どもたちは、多くいます。そして彼らが高校を卒業する年齢になり、それでも社会に出ていけない時、若者無業者になり、生きにくい道を選んでしまいます。決して臨んだ道ではないのに、その道しかなかったかのように。

 「人を殺してみたかった」の少女も何度も生きるのが苦しいと訴えていたのだと思います。その叫びをどうとらえたらよかったのか、大切な何の落ち度もない少女が殺されてしまった今、私達は教育現場でどうこの生きにくい社会にいる子ども達を救っていけばいいのか、また守っていけばいいのか、ますます生きにくさを増やしている現状があります。