一人の青年を自宅に泊めました。救急で病院に行っても、すぐに病院から帰されたり、また救急隊員も、病院に電話しても、受け取らないと言われて、私が受け取ったケースです。

 薬については、いつも信じられないものがあります。食事を摂れなくても。薬だけは飲む少女でした。体がどんなに弱っていても、薬だけは飲むと言う、胃が壊れてしまうと言っても、この薬を飲まないと、眠れないし、落ち着かないと言いました。

 今回のケースも同じでした。クエチアピン錠、リスぺりドンOD錠 などをずっと飲んでいました。その薬では今まで、大丈夫だったと言います。今回、初めてぺロスピロン塩酸錠を飲んで、体の震えを訴えたのです。入浴後のタオルも自分では使えません。体が硬直してしまっています。ベッドに横になると震えます。振動はベッドに同じく座っている私にも大きく伝わってきます。長い時間、薬を服用しています。だから、もう薬無くしては、眠れないと訴えます。ぺロスピリン錠での強い副作用は6時間は強くあると薬剤師に聞きましたので、夜の12時までプロチゾラムの服用が我慢しようと説明。とにかく水を飲んで、副作用を抑えたかったのです。

 夜、一晩中痛みを訴えました。体が痛いと言います。体位を変えてほしいと言います。足の位置も自分では換えられない、右足を引っ張ってほしい、肩の位置を換えてほしい、布団の位置を換えてほしい、背中にも紅斑が14か所。

 前のブログで、内海 聡精神科医師のことを書いたことがあります。その文章の中に「親ではなく、社会ではなく、本人がどうしたいのかを優先する医師がいることを信じたい。怒ろうが泣こうが喜ぼうが叫ぼうが喧嘩しようが、診断や薬ではなく、まっさらな人間のまま対応してくれる精神科医もいると信じたい」という文章があります。

 翌日、青年はまた入院しました。医師は「薬は合っています。本人の心因性です。」

どうしたら、良心的な精神科医師に会えるのでしょうか。