私たちがこのフリースクールを始めて、いろいろな会合に出かけた時のことです。一人の男性が私たちのところに近づいてみえました。西尾のいじめ自殺で二男を亡くされた大河内祥晴さんでした。中学2年でいじめが原因で自殺した清輝君のことを話してくれました。それが私たちと大河内さんとの出会いでした。その後、本も読みました。いじめは文科省の2017年の調査では、41万件にものぼります。少なくなることはなく、どんな対策をとっても、まるで無視されるかのごとく、いじめはなくならないし、いじめで命を亡くす子どももほんとうに多くいます。中でも、いじめた加害者の少年たちが、自分たちのいじめで自殺した生徒の葬式で、笑う姿を見たときは、どうこの少年たちに対したらいいのか、今もって私にはわかりません。
悲しみを分からない、人の気持ちを理解できない人はいます。しかし、「人を殺して何が悪いのか」とどうどうと言う子ども達が現実にいます。
すぐれたカウンセラーか裁判官か、心理学者か、本当にこうした葬式に笑う子ども達の心の奥に、どんな言葉を投げ込むといいのか、「なぜ自分の思っていることをして、いけないのか」「あいつが邪魔だったから、消えてと言っただけ」
今日、テレビで大河内さんの「いじめ・寄り添う誰かがいれば」の番組を観ていたら、大河内さんは清輝さんの自殺から13年後に長男も33歳で自殺されていたとのこと。三男の洋典さんが「家族の苦しさ」を述べてみえました。家族の自殺は、家族の生活を根底から壊してしまいます。
いじめはなぜ無くならないのでしょうか。子ども達も親たちもみんな苦しんでいます。
兄を殺した事件が私たちの近くで起きました。「申し訳なく思っている」と加害者の弟のことば。
葬式に笑う加害者がいることにどう私たちは向き合っていけばいいのでしょうか。