「2001年に自宅で始めたフリースクールでした。」
学校現場が荒れていて、落ち着いて授業ができない校内暴力があちらこちらの中学校で起こるようになった時代でした。せっかく学校に来ても、校内に入れず帰される生徒、忍び込むように校内に入る生徒。
時には理不尽とも感じられる学校、社会への反発の動きはこの地方でも4年間ほど続いたでしょうか。
今は、逆に小学校や保育園の幼い子ども達に先生が手をあげる、考えられないことが起きています。人権が守られていないと感じるこのごろです。
ゆずりは学園は「第13回よみうり子育て応援団大賞」(読売新聞社主催)をいただきました。
新聞発表に「不登校 学びに寄り添う」の言葉がありました。
私は「寄り添う」の言葉が好きです。無理に引っ張るのはいけません。その人の心に添って、じっとそばにいるのが大切です。
上記写真の撮影場所は、ゆずりはの森の中です。ゆずりはの森には、多くの「譲り葉」の樹が自生しています。
学園を訪問される人々から「なぜゆずりは学園と名付けたのですか?」と聞かれることが多いです。この「譲り葉の樹」は大きな葉が小さな葉を雨、風から守り、十分に大きくなったら、静かに根本に落ち、今度は根の養分になって、その木を支え、いつまでも寄り添って代を譲る木です。
母が子どもを見守り、十分に育って社会に出て行ったら、静かに見守り、代を譲る樹が私たちが想うことと同じでしたから、「ゆずりは学園」と名付けました。
授賞式には、この学園を卒業して、名古屋大学に進学、社会へ出て行き、今は外から私たちの活動を支えてくれている卒業生と、大阪の晴れの式に出かけました。
昨年1月、彼の結婚式に参加しました。彼が式の最後に出席者全員に「最後に私から話したいことがあります。ぼくは中学時代、不登校でした。学校に行けなくなって、家にいるようになって、もう自分の人生は終わったと思いました。沓名先生に出会わなかったら、今日の自分はなかったです」と、涙で言葉がつまりながら言ってくれたときの感動は、深く言葉には表せない瞬間でした。
子どもの成長が何より嬉しい。生徒の笑顔が何より嬉しい。
泣いている子ども達、苦しくて死にたいと言う青年や生徒が、笑顔で明るく自分の道を進み、ここから出ていく姿を見るのが何より嬉しいです。
時には警察、少年鑑別所、少年院などの問題も起きますが、20年のまとめとしての受賞を大きな励みとして、子ども達、青年、その家族に向き合い、社会へと自立するまで寄り添う「ゆずりは学園」でありたいと思います。
よみうり子育て応援団大賞とは
読売新聞社が民間の子育て支援活動を顕彰し、サポートするため2007年に設けました。今回、162団体の応募があり、不登校や引きこもりなどの児童、生徒の自立を支援する活動により大賞に選ばれました。