お母さんの仕事が見つかるまで、ひとりバスに乗って登校してきます。

3か月近く、子どもたちがいない日々でした。遠く県外から引っ越ししてきた子ども、車で2時間、1時間かけて、ゆずりは学園に来る子どもたちを、丁寧に迎えたいということで、今週中は小学校、中学校の子どもたちだけの時間でした。来週からは、高校生が通ってきます。

 6日の土曜日、校舎にはひとり。スタッフさんと、勉強したり、お話したり、ランチを食べて、海に行き、バスケット場でボール遊びしています。

ふと、外を見ると、男のスタッフさんと手をつないで、ゆずりは学園に帰ってきます。

お話ししながら、ずっと長い道のりをこうして手をつないできたのでしょうか。まるで、親子のように。

 学校現場で、小学生も14年間ほど見てきました。集団生活の中では、子どもたちは朝から、時間割の通りに動きます。授業中は、子どもの机の近くまで行きます。放課には、子どもたちは仲間と遊んだり、黒板の近くにある教師机にいる私のところに来たり、外に出て行ったり、そして時には私の膝に乗ったり。

 そんな懐かしいシーンを見るような時間でした。子どもの歩みに寄り添う時間です。

時間が、静かに流れていきます。

子どもたちの居場所作りをしてよかったと思います。

ゆずりは学園を卒業して、社会に出て行った子どもたち、生徒たち・・社会に馴染めず、苦しんでいる子どももいます。

「頑張っています」「上司が優しいよ」「ママ、会社を作ったよ」・・・・

「もう辞めたい」「毎日が苦しい、辛い」「死にたい・・」

ゆずりは学園は、もうひとつの家族です。

社会に出て、世間の荒波にもまれて大人の仲間に入り、一人で生きていかなければなりません。

海の真ん中で溺れたら、近くに他人はいません。自分一人で生き抜く術を身につけなければなりません。

 一人で生きていく自信を少しづつ、少しづつ・・でも今はゆっくり家族のように寄り添っていきます。